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映画『1947 ボストン』に出演のハ・ジョンウ、「ソン・ギジョンの演技は表情一つひとつに注意した」

2023年09月22日

「ベルリンオリンピックの授賞式のシーンを撮るのに僕がこの役を演じるだけの資格があるのか、と思った。その場面を撮る時は不思議なほどとても心が重かった」

映画『1947 ボストン(原題:1947 보스톤)』は日本統治時代である1936年にマラソンランナーのソン・ギジョンがドイツのベルリンオリンピックで金メダルを首にかける場面から始まる。

ソン・ギジョン役を演じた俳優ハ・ジョンウはこの場面で祖国ではない日本の国旗を掲げて金メダルを獲得した沈痛な心境を固い表情で表現した。ソン・ギジョンが手に持った苗木で胸の日の丸を覆う姿もそのまま再現した。

インタビューのために21日、ソウル・鍾路(チョンノ)区のあるカフェで会ったハ・ジョンウは、この場面に言及し、「表情一つひとつ、立っている姿勢、植木鉢(苗木)で日の丸を隠す表現まですべて慎重で難しかった」と打ち明けた。

『1947 ボストン』はベルリンオリンピックで金メダルを首にかけたソン・ギジョンが開放直後の1947年にマラソンの有望株ソ・ユンボク(イム・シワン)の監督として、アメリカのボストンマラソン大会に出場した実話を扱う。ソ・ユンボクはこの大会で太極マークをつけて優勝する。

ハ・ジョンウはオリンピック記録が祖国のものと認められなかったソン・ギジョンのうっ憤に満ちた感情を演じた。ソ・ユンボクを厳しく訓練する場面では、ただ優勝だけを願う強い意志を表現した。

彼は「ソン・ギジョン先生は性格と気質自体が非常に強い方だった」とし、「それでソ・ユンボク選手を連れて遠くボストンに行って太極マークをつけることができた」と解釈した。

ハ・ジョンウはまた、「ソン・ギジョン先生の家族たちが僕の容姿が先生と似ているといって喜んだという話を聞いて気分がよかった」と述べた。

『1947 ボストン』の出演を決心したきっかけを尋ねるとハ・ジョンウは、ためらうことなくカン・ジェギュ監督の演出作だからと答えた。

ハ・ジョンウは「若い頃からカン・ジェギュ監督の映画に出演したい気持ちが大きかった。監督の作品に出演したことだけでも出世した感じ」と笑みを浮かべた。

彼はまた、「僕が大学生時代にカン監督が『シュリ』や『ブラザー・フッド』を演出した」とし、「羨望の対象であり、カン監督の映画に出演する夢があったが、この映画で実現した」と付け加えた。

ハ・ジョンウは「出演前に台本を読み、ソン・ギジョン先生とソ・ユンボク先生が大会に出場するまでの道のりが大きな響きとして迫ってきた」とし、「これは単純なスポーツ映画ではないと思った」と述べた。

それと共に「映画のマラソンシーンがとても迫力あふれている。大きな画面で映画を観ながら俳優たちと共に呼吸すれば楽しくご覧になれるだろう」と強調した。

ハ・ジョンウの説明のように映画の後半部、ソ・ユンボクのマラソン競技シーンは15分ほどの長さで実際の競技を観るような没入感を与えるように演出した。歴史的実話を扱った映画なだけに、ソ・ユンボクが優勝する決まった結末に向かうが、その事実を知る観客も迫力を感じるほど。

ハ・ジョンウは2003年に『マドレーヌ』の端役で映画に初めて出演し、今年で満20年の経歴を積んだ。

映画『国家代表!?』(2010)と『哀しき獣』(2011)、『ベルリンファイル』(2013)で百想芸術大賞の映画部門で男性最優秀演技賞を3度受賞し、ドラマでは「ナルコの神」でコリアドラマアワードの演技大賞と青龍シリーズアワードの男優主演賞を受賞した。

この他にも映画『暗殺』(2015)、『神と共に 第一章:罪と罰』(2017)、『神と共に 第二章:因と縁』(2018)などが千万観客を動員し、演技力と興行成績の両方で成功を収めた。

ハ・ジョンウは公開を待っている映画『夜行(原題:야행)』と『ハイジャッキング(原題:하이재킹)』、『ロビー(原題:로비)』にも出演するなど、活動を休まずにいる。特に『ロビー』はハ・ジョンウが主演を務めただけでなく、『ローラーコースター!』(2013)や『いつか家族に』(2015)に続いて3番目の演出作でもある。

そんな彼に初めて映画に出演した20年前に戻るなら、その時の自分にどんな言葉を言ってあげたいかと尋ねるとハ・ジョンウは、「結果に大きく執着するなと言いたい」と答えた。

彼は「2番目の演出作である『いつか家族に』が観客100万人も超えられなかった時は非常に大変だったし、『哀しき獣』の興行成績がよくない時も胸が痛かったが、時間が経ってから『哀しき獣』がよい評価を受けた」とし、「一喜一憂するより頑張れという言葉をかけてあげたい」と付け加えた。

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