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映画『キングメーカー』に出演の俳優イ・ソンギュン、「複雑微妙な関係を繊細に描いたのがこの作品のパワー」

2022年01月19日

映画『キングメーカー(原題:킹메이커)』はキム・デジュン(金大中)元大統領と彼の選挙参謀だったアム・チャンロクをモチーフにした映画だ。
キム元大統領は誰もが知る人物だが、オム・チャンロクについては存在すら知らない人のほうが多い。当時を記録した本に短く登場するオム・チャンロクは、“選挙の狐”、“ネガティブキャンペーンの鬼才”と描写されている。
オム・チャンロクをモチーフにしたソ・チャンデを演じた俳優イ・ソンギュンはオンラインインタビューで、「与野党を問わず、彼を探してみた。なぜ肝心の本人が中心に立てず、影として生きなければならなかったのかに対する答えを見つけることが最大の宿題だった」と述べた。
彼は、南北が極限に対峙する当時の状況で、ソ・チャンデが北朝鮮出身という出生の限界から答えを見出した。
薬屋を経営していたソ・チャンデは最初、キム・ウンボム(ソル・ギョング)に自分を使ってほしいと近づく。「北朝鮮の方言も直した」と強調するが、感情が高まるたびに北朝鮮の方言が飛び出すのはどうすることもできない。
イ・ソンギュンは「実在の人物ではあるが、情報や記録があまりにもなく悩んだ部分もあったが、想像してキャラクターを構築することで、プレッシャーが軽減されたりもした。ソ・チャンデが計略や策略を企む状況は、すでにシナリオで十分表現されていたため、忠実に従えばよかった。最初は方言を使う場面がそんなに多くなかったが、“少しずつ出せたら”と監督に意見を出した。出生の限界という弱点をあらわにしてこそ、彼が影に留まるしかなかった理由が見えるような気がした」と説明した。
映画は新型コロナウイルスの影響で公開が延期され、大統領選挙を目の前にして披露されることになった。イ・ソンギュンにとっては初の政治ドラマでもある。
イ・ソンギュンは「大統領選挙が目前なので、一部では懸念されているようだが政治色を帯びた映画ではない」とし、「激しい選挙戦の中での人間関係に関する物語」だと述べた。
さらに「シナリオを読んだ時、1960年から70年代の選挙の話、2人の人物の信念と葛藤が面白かった。何より『名もなき野良犬の輪舞』のピョン・ソンヒョン監督やソル・ギョングさんとご一緒できるということが選択の決定打となった。拒む理由がない作品だった」と明かした。
彼は「ノワール犯罪映画は多いが、『名もなき野良犬の輪舞』はスタイルの面が独特で、人物の複雑で微妙な感情も繊細に表現されていた」とし、「それが『名もなき野良犬の輪舞』の力で、今回も同じだと思う」と述べた。
そして「ピョン監督とソル・ギョング先輩が酒の席で長男と末っ子のようにあれこれ言い合う姿が見ていて、とても面白かった。ピョン監督はまるで、キム・ウンボムと初めて反対意見をやり取りするソ・チャンデのようだった。その姿を参考にしてセリフのトーンも変えた」と付け加えた。
世界的な注目を集め韓国はもちろん、世界の映画史を新たに刻んだ『パラサイト 半地下の家族』以来の劇場作品でもある。イ・ソンギュンは「プレッシャーは僕の役目でない。感謝の気持ちだけを持っている」と述べた。
イ・ソンギュンは「そんな作品に参加したということ自体がとても大きな幸運だし光栄なことだ。しかしその綱を握ってばかりいてはダメだし、プレッシャーを感じる必要もないと思った。映画祭に出席し称賛され、元気づけられたのが一番大きな影響だった。韓国映画史100年を後押ししながら、また新しいスタートを切った。『イカゲーム』など、韓国の作品が海外で大きな関心を得る現象の始まりとなったのでうれしくもある」と明かす。
イ・ソンギュンは『パラサイト 半地下の家族』チームが受賞した全米映画俳優組合賞(SAG)のアンサンブル賞の候補に上った「イカゲーム」チームを祝福すると共に「(会場には)非常においしいシャンパンが多い。受賞する可能性もあるので、適度に楽しんでほしい」と機転の利いたアドバイスを伝えたりもした。
「大げさな信念はなく、『年をとっても偏屈にならず、堂々とクールに生きたい』という思いを妻(女優のチョン・ヘジン)と共有している」という彼は、「立ち止まることなくコツコツと演じられることに感謝する」と述べた。
そして「初めて挑戦したジャンルの映画も公開を控えている。皆さんがどうご覧になるのか楽しみだ。僕がうまくできそうな役柄よりは、『どうしてこんな役を僕にくれたんだろう?』と悩ませる作品や役柄にもっと出会いたい。悩む過程は大変だが、それと共に成長できる。いい年の取り方をしがら、年相応の役をやれたら幸いだ」と伝えた。

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