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大合唱は無くなり前後左右の座席はガラガラ…コロナ禍で変化したコンサートシステム「政府からの支援は必須」

2020年07月08日

「席は離れているが、その空いた間隔に皆さんの気持ちが満たされたら幸いだ。つばを飛ばしながら歌を一緒に歌えなくても、マスク越しに小さく一緒に歌ってみよう」(キーボードのJandi)
3日午後、ソウル・龍山区(ヨンサンク)のライブハウス。今年で10周年を迎えるインディーズバンドのブロッコリーノマジョ(Broccoli you too)による夏の長期公演「早い熱帯夜」が、特別な方法で開催された。
すべての客席は前後左右の席を空けた“ソーシャルディスタンス座席制”で運営された。新型コロナウイルス感染症を予防するための政府の勧告に従い、観客間の距離を1メートルにキープするためだ。この公演会場はもともと400人ほどが観覧することができる場所だが、ブロッコリーノマジョは約170席だけをオープンし、チケットを発売した。
看護師出身のJandiは防疫チームを総括し、きめ細かなウイルス予防作業を行った。防疫チームは公演の3時間前から、会場内外の人の手が触れるすべての場所を消毒した。あちこちに配置された手指消毒剤も目に付いた。
会場前には“防疫ゾーン”を設け、医療陣たちが観客の体温を測っていた。対面接触を減らすため問診票は同日正午までオンラインで提出するようにした。感染者が訪問する場合は、動線確保のための“QRコードチェックイン”も行った。
ドラム兼ボーカルのRyujiは公演中観客に「問診票はみなさん作成されましたか?」と問いかけ、「私は名前を書き間違えてJandiさんから怒られました」と述べ、笑いを誘った。
全ての手続きが行われる間、ここに集まった観客たちは文句を言わず秩序を維持した。
ブロッコリーノマジョが「Can't Soothe by Love」、「Let Them Pass By」、「1/10」などの代表曲で2時間ほど公演する間、マスクを外す人は見られなかった。
通常のコンサート会場で見られる大声での大合唱はなかった。その代わり観客たちはマスク越しに歌を小さく歌ったり、手を叩きながら公演を楽しんだ。
「早い熱帯夜」の恒例である野外でのアンコール公演も続いた。ブロッコリーノマジョのメンバーたちが「案内の指示が出たら席を立って移動してください」と要請し、観客たちはそれに従いゆっくり室内の公演会場から外に出た。
ベース兼ボーカルのDukwongは「野外とはいえ、両手を広げて間隔をキープしよう」と集まった観客たちを散らばさせるよう促した。
ブロッコリーノマジョは「Yuja-Cha」、「Song Is Universal」、「Dancing In The Moonlight」などのアンコール曲を披露した後、公演を締めくくった。
新型コロナウイルス感染症の拡散により、コンサートや音楽フェスティバルなどの大衆音楽公演が相次いで中止される中、“ソーシャルディスタンス座席制”の公演が代案として浮上している。人が多く集まる公演会場は安全ではないという懸念が出たことで、1席ずつ席を空けて余裕をもって着席するようにした形だ。
男性ソロ歌手のイ・スンファンもこれに先立ち、この方式でコンサートを開き、今後インディーズバンドのThe SolutionsやDAYBREAKなども“ソーシャルディスタンス座席制”の公演を控えている。
しかし客席を半分以下に減らさなくてはいけないため、アーティストが稼げる収益もそのぶん少なくなる。小規模公演を主に行うことに加え、資本金が少ないインディーズミュージシャンの場合、“ソーシャルディスタンス座席制”で公演を行うのは容易でない。
ブロッコリーノマジョは韓国コンテンツ振興院から公演にかかる金額の一部を後援してもらった。Jandiは電話インタビューを通じて「正直、後援がなかったら公演をする決定を下すのは難しかっただろう」と伝えた。
あるインディーズレーベルの代表は「“ソーシャルディスタンス座席制”の公演は、動員しなければならないスタッフは多くて、入場券の収益は大幅に減少するため、ほどんど“ファンサービス”に等しい」とし、「貸館料など政府の支援が切実な状況」だと吐露した。
なんとか公演することを決めたとしても、冷たい世論にぶつかる。
最近は1000席以上の規模の公演会場で、ミュージカルやクラシック、バレエなどの公演が相次いで開催されているが、大衆音楽の公演に対しては冷たい視線が送られていると業界関係者たちは主張する。先月開催された、新型コロナウイルス感染症による音楽産業界の対応策を議論するセミナーでもこのような指摘が出ていた。
また別のインディーズレーベル関係者は「一部の数千席の公演会場で大勢の人が集まり鑑賞するミュージカルは、なんの問題もなく上手くいってるではないか」とし、「大衆音楽の公演、特に“ソーシャルディスタンス座席制”での公演は、これよりはるかに安全に運営されている。もう少し温かく見守ってほしい」と述べた。

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